味ぽんを見直す

Ajipon
関西人はおおむねソースとかぽん酢の類が好きである、と書いてもそんなにお叱りを受けることはないと思う。ウスターソースだけでもかなりの種類があり、さらに焼きそば、お好み、たこ焼き、とんかつ、など用途別に幾多の種類がある。また、関西地元の小さなメーカーのソースや、広島のオタフクソースとか東のブルドッグソースまである。

関西におけるスーパー市場のソース売り場はまさに百花繚乱のごとくだが、私はどういうわけか自宅(自室か)にソースを置いていない。職場の賄い料理でもわりと揚げ物、フライがよく出るが、たいていそのまま食べる。同僚には不思議がられるけど、ソースがなかったら死ぬわけでもあるまい。どう見ても関西人失格の男である。

そんな私だが、ぽん酢は大好きである。さすがに飲んでもいいくらい好き、とまではいかないけれど、鍋でぽん酢が薄くなったら豆腐などと一緒に全部口に入れてしまっても平気だ。冗談で、毎日鶏の水炊きでも良い、と言うと、飽きないですか、とよく言われるんだけど、たぶん飽きない予感がするのもぽん酢のおかげと言える。

ぽん酢ではてっちり(フグ鍋)、てっさ(フグ刺し)、または水炊き用で、つけて食べるタイプの「濃くて酸っぱいぽん酢」がいちばん好きかもしれない。柚子胡椒を知ってからは、ソップ炊き(寄せ鍋)にして、出汁に柚子胡椒を溶いて食べるのも好きになった。そこにタバスコを振ってレモンを絞り、ほんの少しぽん酢を垂らして食べるのが乙山流つけダレ(?)である。

製造者で大別すると、ぽん酢は三種類ある。醤油屋さん(亀甲萬、ヤマサなど)、お酢屋さん(ミツカンなど)、そしてぽん酢専門メーカーが作ったものではないかと思う。関西では最後のぽん酢専門メーカーのものに人気があって、「ぽん酢は**でないとダメ」という人も多い。少々高いけど、ファンになってしまうのもわかる気がする。

調理場の人がいない(1〜3月上旬)関係で、週末の夕食に鍋をすることが多くなった、ていうか、それしかする気が起きないから鍋ばっかり食べているけど、不思議と飽きることがない。粉末昆布と柚子胡椒があると、安心して水炊きができるのだが、ないのでヒガシマルうどんスープを使った寄せ鍋(具材は少ないけど)を作る。

ヒガシマルうどんスープである程度の下味は付いているので、器に取ったらぽん酢を少し垂らして食べる。醤油屋さんのはさすがに醤油の味が生きているなあ、とか、お酢屋さんのは柑橘系の香りが強くて良いねえ、などと些細な「ちがい」を楽しんでいると、いつの間にかぽん酢がなくなってしまった。

さて、どうする? って、近所には「たかはし鮮魚店」しかないのである。まさか、「あのう、ぽん酢を買いたいんで、車貸してもらえませんか」なんて会社に言えないでしょ? どうしても、の緊急事態でもない限り、私用で会社の車は使えないのだ。だったら「たかはし」さんに行ってみるしかないっしょ。たぶん、あるかも。

で、行ってみると、〈味ぽん〉しかなかった。なんだ、味ぽんか……と一瞬思ってしまったけど、それしかないんだから仕方がない。これ、自分で買った記憶ないんですよね。いつか、どこかで使ったかもしれないが、美味しいと思った記憶もないし。関西にいれば、もっと良いぽん酢はいくらだってあるので、つい……ね。

あまり期待もせず器に取って垂らして食べると……あ、意外と、ていうか、けっこういける? うそっ、もう一度食べるね……あれ、普通においしいわ、これ。もっとダメかと思っていたけど、醤油と酢がじつに「良い加減」にブレンドされている。確かに柑橘類の際立った香りとか、生醤油の旨みが、とかいうリッチさは全くないけど、これはこれでいい。

この懐の深さは何だろう? 例えば醤油の旨味が足りないんだったら、それなりの醤油を後から加えれば良いし、柑橘類が欲しければ、すだち、柚子、レモンなどを絞れば良いわけである。好みはそれぞれあると思うけど、とりあえずぽん酢一本で済ます、できれば安ければ安いほど良い場合、味ぽん以上のものがどれだけあるか、逆に考えてしまいそうになる。

しかも安いところが良い。庶民というか貧民の味方、ケチらずドバッとかけても許されるような気安さがあって、とても使いやすい。高級ぽん酢なら、こうはいかないものだ。もっと前から使ってもよかったんじゃないか、とも思う。でもこれは、今になって初めてわかるようなことなのかもしれない。ミツカン味ぽんをちょっと見直した。


【付記】
⚫︎ 味ぽんって、こんなに美味しかったっけ、というのが正直な気持ちでした。確かに、もっと良いぽん酢はいくらでもあるのですが、期待以上だったのです。食べるときに、それが想像以上だったら、何だか嬉しくなってしまいますが、実際は「それほどでもない」または「そんなにおいしいの?」くらいではないでしょうか。

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No title

そうそう、スーパーなんかではすごいですよねポン酢の数。
私なんか大学で関西に住むことになって初めてポン酢の存在を知りましたからね。最初は「なんや、このすっぱいの・・・」って感じでした。
我が実家では、すべてを酢醤油で済ませていましたからね・・・酢が嫌いだった私は醤油だけですべてをすませていました。
酢はいまだに苦手ですが、関西に暮らし始めてもうじき40年。ポン酢だけは酸っぱくてもなんとかいけるようになりました。

私の家はヤマサの昆布ポン酢ですね。理由は・・・お安いことと、あまり個性が強くないこと。これにその日の気分によって、正月に大神神社の前に出る屋台の唐辛子屋さんで買った七味唐辛子をパラリ・・・辛みの豊かな大根があるときにはそのおろしをたっぷりと・・・です。

Re: gatayanさん

gatayanさん、コメントありがとうございます。
確かに、ぽん酢(ソースもだけど)の陳列棚はすごいですよね。

ヤマサのぽん酢、醤油の香りがきいていて良いですね。
仰るように昆布ぽん酢はまろやかなんですよ。
乙山は酸っぱくて濃いぽん酢が大好きでして、
ひろたのぽん酢なんかがお気に入りでした。

秋田はぽん酢の種類が少ないような気がします。
だけど、味ぽんがあれば、もう大丈夫です。

去年、治療の関係で3週間程ヨード制限というのをしてました。ヨードを一切取ってはいけないので海のものが駄目で、昆布出汁も鰹出汁もという事で日本人としてはかなり大変だったのです。

さてこの味ぽん、あの数あるポン酢の中で唯一大丈夫なんですよ。要するに出汁の類を一切使ってないんです。だいたい何でも出汁って入ってるんですよね。味ぽんはその点で孤高の調味料でした。

実は今月末から又同じ治療するので、暫く私も味ぽんとの濃いお付き合いが始まります。お互い、このとんがった味わいを楽しみましょう(笑)

秋田県民は

秋田では味道楽の里という万能つゆがメジャーかと思います。是非お試しください。

Re: 白プードルとお散歩さん

白プードルとお散歩さん、コメントありがとうございます。
え、ヨード制限? どういうことなのか、わかりませんよ!
だけど体質の問題ってありますよね。

乙山も血圧がどうしてもクリアできなくて、難儀しております。
健康診断の一週間前から禁酒しても関係ありませんでした。
がっかりでしたね。もっと、結果が出てほしかったです。

さて!
味ぽん、これはもう、心の友になっているかもしれません。
スーパー市場で色々ぽん酢があっても、迷わず味ぽんをカゴに入れてました。
よく出来てますよ。これを、楽しみましょうね!

Re: 秋田県民は;かまくらさん

かまくらさん、コメントありがとうございます。
早速、検索してみました。「味どうらくの里」ですね。
なるほど、醤油に出汁と砂糖を加えた万能つゆ、今度試してみます。
記事に書けるかな?

^^

味ぽん~これはちょっと苦手なんです。
できれば酢橘に醤油が個人的には好きです。

これは小学生の時からのことで。
自分でも何故かしら?と思うんですよ。
同じようなものなのに?

強いてあげれば新鮮さ?でしょうか?
きゅっと絞った酢橘を醤油に入れる。
その新鮮さが味ぽんと若干違うのでしょうね^^)/

Re: ^^;waravinoさん

waravinoさん、コメントありがとうございます。
味ぽんが苦手な人もいますよね。
乙山も久しく味ぽんを使っていなかったくらいですから。

すだちを醤油にしぼり入れる、なんて美味しそうなんでしょう!
そういう新鮮さは、味ぽんにはありませんね。
だからこそ安くできるわけですが……
安いのに、そこそこいける所が気に入ってます。

No title

どういうわけだか、ポン酢はあまり好きではありません。
できれば、鍋にはしっかり味をつけてくれというタイプです。
最近は、具材に本場のラー油を垂らして食べています。

Re: 根岸さん

根岸さん、コメントありがとうございます。
わかります。しっかり味のついた鍋を食べたい、と。
そんな根岸さんには「鍋キューブ」なんかがピッタリかも!

推測ですが、関西のぽん酢はカニ鍋とフグ鍋をいかにうまく食べるか、
そして日常としては、かしわの水炊き用として存在しているのかもしれません。
乙山も、ぽん酢だけで済ませることは少なくなりました。
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只野乙山

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