海の見える小さな町

2018年2月末日で男鹿温泉郷のホテルを退職した。それで姉と義兄の家にお世話になりながら、住居と仕事を同時に探すことになったのである。会社の寮を出るつもりでいたので、住居を2月中頃からすでに探し始めていて、2月の終わり頃に何とか住めそうな物件が見つかった。

海の見える小さな町の戸建て住宅だが、おばあさんが猫を飼っていたらしく、当初はひどい臭いでどうしようもなかった。ちょうど(?)姉も私も無職だったので毎日その家に通って空気を通し、部屋の片付けと掃除をした。猫が爪とぎをした柱はひどい状態になっていたが、パテを盛ってサンディングを繰り返し、水性ニスで修復した。

生まれて初めてハローワーク(公共職業安定所)を利用した。登録を済ませ、相談員に仕事を紹介してもらうのだが、男鹿市で仕事を見つけるのは難しいことがわかった。秋田市内まで広げたら仕事はあるのだが、男鹿に住むことを決めたので秋田市内の仕事は諦めざるを得なかった。結局、3月と4月で仕事は決まらず、5月に入ってしまった。

家の片付けと掃除は思いの外時間がかかった。とにかくやる事はたくさんあり過ぎて、どこから手を付けたら良いのかわからないような状態である。メインの居間の壁を塗り替えることにして、マスキングテープで養生してローラーを使って水性塗料を塗った。柱の修復と並行して障子紙を張り替え、キッチンの清掃と壁の塗装も進めた。

仕事は決まらなかったけど、家の片付けと掃除をする必要があったので、結果的にはそれで良かったのだと思う。臭いが抜けて、何とか住める状態になったのが4月末頃、5月から実際に住み始めた。ネットにつながっていない状態なのでウェブログを更新できず、スマートフォンのモバイルデータでネット接続する気にもなれなかった。

5月10日頃に応募した仕事の面接を17日頃に終え、連絡があったのがずいぶん後になってからだった。ほとんど内定しているが、取締役が農繁期で出てこられず、決済が進まないのだ、と。なんじゃそりゃ、と思うが、秋田ではさほど珍しいことではないそうだ。正式決定したのが5月末頃で、6月1日から出社するように、と相成った。

ようやく住居と仕事が決まり、5月末頃にはネット開設の工事が終了、やっとウェブログを更新する気になれました。何事もなかったように書いているけれど、実際はかなり精神的にへこんでしまって、ウェブログどころではなかったのが正直なところです。ま、何はともあれ、紆余曲折はあったれど、何とかやってます。

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再起動?



ネット環境が整わない状況が続いておりましたが、
近頃、ようやくネット開設することができました。
4月初旬に申し込んだのですが、
工事は5月末になる、と取扱業者はいうのです。

これが正常なのかどうか、わかりません。
でも「そういうもの」だと考えるほかありません。
駄々をこねる必要もなく、たとえネット開設できたところで、
主筆者の具合が良くないものですから仕方ありません。

色々ありましたけれど、
どうやら、再起動できそうです。
あ、別にしなくてもいいって?
だよね。


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男鹿半島と周辺を歩く(22)麺屋うるとら(秋田市土崎)

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出張研修の最終日、みんなで何か食べに行こうとなった。このところ、節約ムードが続いていたのである。同僚の一人が〈丸亀製麺〉に行きたいと言い出したが、それはちょっと……でボツになった。焼肉店は私が反対した。焼肉店の仕込みバイトをやったことがあるんでね。詳細は語らないけど、無理。

とにかく寒いんで、何か暖かいものを、となると結局ラーメンである。まだ行ったことのない店を、ということで国道7号線沿いの〈麺屋うるとら〉に行って来ましたよ。いつも土崎臨海十字路で左折して男鹿方面へ向かうコースをとるけれど、7号線沿いの飲食店が面白いのは土崎を過ぎてからなのだ。

〈麺屋うるとら〉はチェーン店のようで、土崎以外にも店舗を出しているそうだ。外装も内装も、店員のユニフォームも「今どきのラーメン店」以外の何物でもない。メニューもたくさんあり過ぎてよくわかんない。でも秋田でラーメンに困ったときには味噌ラーメンを頼めば間違いないというのも学んだ。

で、味噌タンメンにしましたよ。プラス50円で大盛りにできるようなのでそれを頼んだ。料理が来るまでの間、少し時間があったのでコップに水を入れてお疲れ様の乾杯をした。本当にありがとうね、あんたらがいたからやり通せたと思う、俺たち本当にいいチームだったと思うよ、と言った。

もしかしたら、これが最後かもしんないから、と私が言うと、同僚たちは驚きもせず静かにうなづいた。もうこの手の話題は幾度となく車内で交わしていたから。だが、その詳細をここで語るのはフェアではない。ただ、心や体を害してまで無理することはないと思うんだ。

さて料理が来ましたよ。もうラーメン鉢から溢れんばかりのスープに驚かされるけど、大盛り用の鉢ってないのかな。豚肉、キャベツ、人参、ネギ、モヤシ、玉ねぎ、そしてキクラゲが入っていて、これぞタンメンという感じである。スープは白濁していてちょっと意外な感じがする。

飲んでみると、どうも豚骨ベースに魚介も入っており、味噌は色からしてたぶん信州味噌系が主体になっているようだ。なんともクリーミーな味わいで、ちょっと味噌が弱いかな、とも思う。でもこれはこれで美味しい。いかにも今どきのタンメン(なんてあるのか?)という感じがする。

麺は太めの縮れ麺だけど、機械で作った感じが全くせず、手打ち麺にかなり近い感じがする。もちっとした食感が好ましく、スープとよく合っているように感じた。むう、これはなかなか良く出来ていますね。私たちの他にたくさん客がいて、人気店であるのもよくわかった次第である。

今回は外さなかったよね? でもさぁ、醤油ラーメンってあるんだけど、見ると「清湯スープに極上麺」とか書いてあるんだよ。もしそれが本当だったら、そっちを頼むべきだったかもね。ああ、どうしよう……でもこの店、一人で来るより、今日みたいに何人かで来るのがぴったりの店だと思う。


【付記】
⚫︎ 土崎の〈麺屋うるとら〉、なかなかでございました。上出来だとは思うのですが、今どきのラーメン店に自分がしっくりこないのもまた事実。「清湯スープに極上麺」に関しましては、十分な下調べをしたのち再度臨んでみることにしましょうか。諸般の事情によりしばらくウェブログを休みます。

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タルコフスキー『鏡』

『鏡』(1975年、ソ連映画、108分)

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原題:(The Mirror)
監督:アンドレイ・タルコフスキー
出演:マルガリータ・テレホワ、オレーグ・ヤンコフスキー、イグナート・ダニルツェフほか

タルコフスキー『鏡』はもう何年も前にレンタルメディア店でVHSを借りて見たように思う。内容はほとんど覚えていないけれど映像の断片が妙に記憶に残った。だが『鏡』の主演女優マルガリータ・テレホワを見て、この人『ソラリス』にも出ていなかったっけ、などと思ってしまったから話にならない。

『ソラリス』のハリー役はナタリア・ボンダルチュクという人で、まるで別人なのだが、その時はなぜか彼女たちが同一人物だと思い込んでしまったのである。今回は男鹿の〈GEO〉でDVDを借りて見ることにした。テレビの中で、失語症の青年が女医に治療(リハビリ?)を受けるモノクロ場面から始まる。

タイトルとクレジットの提示後、カラー場面となってロシアの田舎町の一軒家、そして女(マルガリータ・テレホワ)が木の柵に座って煙草を吸っている。そこに通りすがりの医者が現れ、町へ行く道を尋ねる。医者は女に煙草をもらい、女の横に座ろうとするが、重みで木の柵が崩壊する。

男と女の会話から、女には夫がいるが不在であることがわかり、男の子は「わたし」の少年時代らしいこともわかってくる。おそらく現在と思われる「わたし」に母親から電話がかかってきて、昔の同僚が亡くなったと告げられ、場面は母親が昔勤めていた印刷所(出版社?)のエピソードになる。

全編通して見た結果から言うと、『鏡』に筋らしい筋は「ない」。失われてしまった過去の記憶を再構築しながら、そこに妻と子どもたちを失ってしまったわたし=作者の現在が交錯しつつ映像は流れて行くのだが、そこに過去のドキュメンタリー映像が挿入されていく。

興味深いのは、やはり筋(ないんだけど)とはほぼ無関係の映像の迫力が印象に残ることだろうか。家の天井が崩壊しつつあって水が滴り落ちる瞬間だとか、少年時代のわたしの家にいきなり老婦人がいて、紅茶なんかを飲みながら本棚にあるノートを朗読しろと命じたりする荒唐無稽ぶり、これぞタルコフスキー的世界だ。

しかも、誰か玄関に来ているらしいので「わたし」が玄関を開けると間違いだったらしく、再び戻ると老婦人は消失しているのである! だが、カップが置かれていたと思われる部分にはその痕跡が残っているがみるみるうちに消えてゆき、背景に流れる音楽も衝撃的瞬間であるかのように盛り上げている。

そして今回も、お得意の「空中浮遊」がばっちりあるんですね。マルガリータ・テレホワがベッドに上で浮かんでいるんだけど、なんがために浮かばないといけないのかは意味不明である。人間消失といい空中浮遊といい、あんたは魔術師か? と言いたくなるが、これを味わうのが「タルコフスキー映像を観る」ということなのだろうか。

父親を喪失した幼年期の「わたし」と、離婚によってやはり父親を喪失した「わたし」の息子が二重写しあるいは鏡像になっているのは、彼らが同一キャストであることからも伺えるし、「わたし」の母と妻もまた同一キャストによる「鏡像」になっている。だがそんな理屈はどうだっていいような気もする。

私にとって『鏡』はマルガリータ・テレホワの魅力による所が大きい(やっぱりそっちかよ!)のかな。あからさまな露出はほとんどなく、極めてあえかな仄めかしだけで何か性的なものを匂わせ、引っ張っていく映像それ自体の力、筋などなくても映像だけ見てなんか感心してしまう魅力、それがタルコフスキーなのだと思う。


【付記】
⚫︎ 『鏡』に意味を見出そうとする試みが不毛だとは思いません。たぶん答え(意味)はないと思うのですが、だからこそ様々な解釈が可能になるわけで、映像だけでなく、解釈も楽しめる奥深い作品ではないかと思います。

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ちゃんぽん調査隊(14)




〈遊歩者 只野乙山〉 冬季限定企画
【ちゃんぽん調査隊】




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秋田市内で国道13号線を走っていると、川尻若葉町交差点の近くに〈ラーメンの五右衛門〉という店があるのに気付いた。道路沿いから少し奥まったところにあって「あんかけチャンポン」などと書いてあるではないか。ちゃんぽん調査隊長である以上、これはもう、見逃してはならないのである。

勤務シフトの関係上、私一人で通勤する機会があるので、勤務後に〈ラーメンの五右衛門〉に行ってみることにした。下りで茨島交差点を過ぎたらすぐだぞ、とわかってはいたんだけど、若葉町交差点をあっさり通過してしまった。慌てることなく、次の信号で右折して、と。

ナビゲーション装置もなく、目視(と地図上)で確認しただけで知らない地域を走行するのだから迷って当然と言える。あら、いとく(スーパー市場)に来ちゃったよ、五右衛門はこの奥にあるんだったよな、とか思いながら右往左往しちまいましたよ。店の前に五右衛門専用駐車場があって、人気のほどが伺える。

午後5時半過ぎに入店したのだがすでに先客がいる。店内に華美な雰囲気はないが不潔でもない。中年と比較的若い男性二人で切り盛りしているようだ。メニューは正油(と表記している)チャンポン、味噌チャンポン、塩チャンポン、そして味噌ラーメンの4種類のみ。たいへん潔い感じがする。

立場上(?)正油チャンポンを注文するしかないもんね。ちゃんぽん調査隊の長である以上、まずは調査を優先し、しかる後にですね、好みのものを食べるようにするわけですよ。正油チャンポンを注文すると、店員はおもむろに(急がぬ様子で)作り始める。彼らに笑顔はないが、とくに無愛想でもない。

さて料理が来ましたよ。いやはや、ものすごい分量のあんかけチャンポン。豚肉、エビ、イカ、ホタテ、そしてキャベツ、人参、ネギ、タケノコ、キクラゲが入っていますね。とろみはかなりしっかり付いていて、すぐには「飲めない」ですよ。色がまた良いですね。濃過ぎず薄過ぎず、絶妙のバランス。

レンゲですくって味わってみると……えっ、あ、甘っ! てか、なんでこんなに甘いの? 秋田では醤油ラーメンに甘みがあるってわかってたんだけど、まさかここまでとは、ね。いや、困ったなこれ、どうしよう? 全体的には美味しいんだけど、甘みがここまで強いと、あんまり進まないんですよね。

ちゃんぽんは完食が基本である、という私なりの流儀があるんだけど、ちょっと今回は無理。麺は普通の中華麺でバッチリなのにな。少しずつ進めていくと、汗が出て来ますね。某食品工場の名前が入った上着を脱いで、っと。店の人、私の左胸のあたりをガン見(たぶん凝視?)してましたね。

ああこれ、けっこうな分量である。食べても食べても、なかなか減らない感じがするのは甘さのせいだけではあるまい。新しい客が入って来て、私の近くに座ったんだけど、女性の声で「味噌チャンポンと塩チャンポン、大盛りで」だって! 瞬間、吹き出しそうになるのと、むせるのが同期して困ったやら助かったやら。

ていうか、あんたらどんだけ……こっちは普通サイズを食べ切るのにも苦労してんだよ? そっか、若い子だったんだ。汁を残してゴメンな、と思いながら会計を済ます。918円(税込)である。正直、ちゃんぽんでそれは高いと感じる。こっちは「たかがちゃんぽん」でも向こうは「名物チャンポン」、その温度差から生じたズレなんだろうね。


【付記】
⚫︎ ふざけるな、秋田ではそれが普通なんだよ、という声が聞こえてくるのですが、私には正油チャンポンは甘すぎました。店内にはちゃんと「味の好みを調節します」との張り紙もあるので、次回は好みを伝えてみようかと……てか、素直に味噌チャンポンか塩チャンポンにしようと思います。


≪ ちゃんぽん調査隊(13) へ ちゃんぽん調査隊(15)へ ≫

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只野乙山

Author:只野乙山

⚫︎ できれば「只野乙山=ただのおつざん」とお読みくだされば、と思います。

⚫︎ 文字中心のウェブログ。ほとんど一話完結で、どの記事をご覧になっても楽しめ(?)ます。文字数だけなら一冊の本に匹敵(凌駕?)するほどありますので、ごゆっくりどうぞ。

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