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さようなら




【お知らせ】


突然ですが、5月末をもちまして、
バー・フラヌールは消滅しました。
それに伴い拙ウェブログ「遊歩者 只野乙山」も、
今回をもちまして終了いたします。

拙ウェブログには色気と笑いがない、とわかっていましたが、
「店を始める」などという、突然の乱心としか言えない迷走ぶり、
開店前のドタバタ、そしてあまりにもあっけない幕切れ。
これはもう、お笑い以外の何物でもありません。

そんな意味において、現実とウェブログが交錯しながら、最後に、
ちょっとした「お笑い」を提供できたのではないかと思います。
心では、いや現実ではたくさん涙が流れましたが、
ネット上では、笑顔でお別れです。

ご愛読、ご来店下さった方々に、
心より感謝いたします。


【付記】

● This is neither fake nor joke.
Never ask me why, please.
That's the best thing I could do.
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竹鶴ピュアモルト(新ボトル)

TakePureMalt.jpg
今回は竹鶴ピュアモルトを試飲した。色は余市や宮城狭より深く、琥珀色。蓋をとると、アルコールの揮発に混じってフルーティーな香りがするが、どこかウッディでかすかにスモーキーさを感じる。口に含むとモルトの若さを感じるけれど、ストレートで十分楽しめる味わいに思う。モルトの糖度はそう高くなく、意外にスパイスを強く感じるのが面白いところ。香りで期待したスモーキーさは舌にほとんど感じることはない。

フィニッシュの余韻はそう長くはないがわりと続く。スパイスが舌に残り続けるのが後を引くのだろうか、それが引いた後はモルトの甘味が舌に残り、麦芽香が鼻に抜ける。飲み終わったグラスからはキャラメルやヴァニラ系に混じって木質香が漂ってくる。若干の加水をしても味わいのバランスは崩れないが、ほんのわずか加水したほうが甘みをより感じるような気がした。

トゥワイス・アップまでもっていくと、薄まった感じはするものの、まだ伸びている。ただ、この味わいは「ジャパニーズ・ウィスキー」ではあるけれど、ブレンデッド・スコッチのような感じでもある。ブラインドで出されたら、「ああ、これは竹鶴ピュアモルトですね」と、一発で当てることは本当に難しいのではないだろうか。自分が長年存在すると信じてきた「日本のウィスキーらしさ」って何だろう、と改めて考えさせられてしまう。

オーバー・アイスで(氷に注いで)飲むと、香りの広がりは抑えられてしまうけれど、甘みとスパイスをしっかり味わうことができる。ストレートで飲んでこそウィスキーの本当の味わいを楽しむことができるという意見もあるだろう。けれどこれはこれでいいではないか。申し添えておかないといけないのは、飲んでいて「これ何だろう」とか、ふと思ってしまうことで、今確かに竹鶴ピュアモルトを飲んでいる、という感じはあまりしない(おいおい)。

トゥワイス・アップを氷に注いだ「ハーフ・ロック」スタイルはどうだろう。ここでは竹鶴ピュアモルト20mlに対して水20mlを氷に注いで飲んでみた。うむ、悪くない。甘味は薄まっているけれど、まだかなり伸びているし、スモーキーさと錯覚させるような木質香も感じられて面白い。だが、これ以上薄めることは断念しようと思う。何度も書いているが、これは「竹鶴ピュアモルト」とわかって飲んでいるからそう言えるだけのことである。

TakePureMalt_Soda.jpg最後に「竹鶴ハイボール」を試してみよう。何しろ、竹鶴ハイボール用として専用グラスがあるくらいなのだから、メーカーとしても推奨している(?)飲み方ではないかと思う。いわゆる「角ハイボール」に対抗するというか、さらに上級のハイボールを提案した、ということだろう。専用グラスがあるので、せっかくだからそれを使って竹鶴ハイボールを作った。なるほど、すっと背が高めのグラスは高級感がある。

店によっては、金属製のタンブラーを使って竹鶴ハイボールを出す場合もあるようだ。さてそのお味は……うむ、なかなかうまいじゃないか。甘味はちょっと後退して、ソーダによる酸味と拮抗している感じがする。ソーダ割りにすることによって、竹鶴ピュアモルトの良さを引き出しているのかどうか、自分では判断できない。そんなに甘くない「キリッとしたハイボール」になっているのではないかと思う。


【付記】
● エントリークラスのジャパニーズ・シングルモルト(とブレンデッド・モルト)の主な銘柄を飲んでみて思うのは、仕上がりの傾向(味にあらず。宜しく)が奇妙に似ているということでしょうか。一言でいうと「品質ぎりぎりを保った高価格」ということです。

原酒不足だから仕方がない、ということでしょうが、高い金を払ってまで飲む必要があるのかな、とも感じます。これを機に、スペシャル・リザーヴやローヤル、あるいはスーパーニッカを見直す(それこそ re-spect, to look at something again:もう一度見る)動きがあってもいいように思いました。


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響ジャパニーズ・ハーモニー



〈遊歩者 只野乙山〉 特別企画
【日本のウィスキーを飲む】



Hibiki_JH.jpg
今更という気もするが、響が「ジャパニーズ・ハーモニー」として熟成年数無記載ものになったので試しておこう。山崎や白州より少し濃い目の琥珀色。蓋をとると、アルコールの揮発をわりと強めに感じる。有機接着剤とバナナ、レーズン、チョコレート、カカオなどの香りが漂ってくるが、スモーキーさやピート香は感じられない。口に含むと、モルトその他の甘みを感じ、微弱だがスパイシーさもあるように思う。

フィニッシュの余韻はそう長くないが、甘みが口の中に残って旨味に変わっていくのがわかり、ヴァニラやキャラメルのような甘い香りが鼻腔に抜ける。塩(潮)気はそれとわかることはなく、ほとんど感じることができなかった。飲み終わった後のグラスから、木質香に加えて赤ワインを思わせる香りが漂ってくる。

若干の加水をしても味わいのバランスは崩れない。ほんの少しだけ加水すると、何だか甘みをより強く感じるような気がするが、これはあまりあてにならない。何かスポイトのような物を用意して、少しずつ加水しながら飲んでみるのも面白いかもしれない。店でも、そういうスポイトのような道具を置いてみようかな、という気にさせるほどだ。

飲み終わったグラスからキャラメルやヴァニラの甘い香りや木質香が混じって漂ってくる。トゥワイス・アップまでもっていっても、まだ甘さがしっかり残っているのに驚かされる。なんてよく伸びるブレンデッドだろう。ブレンデッドとはいえ、私たちはもう〈知多〉を知っているわけで、単体で楽しめるグレーンあればこその響なのだろう。

オーバー・アイスで(氷に注いで)飲むと、やはり甘みを強く感じる。さすがに冷却によって香りの広がりは抑えられてしまうけれど、真夏などはこうした飲み方も良いのではないかと思う。氷が溶けて加水が進んでも甘みはしっかり残っているので楽しむことができると思う。ただし、かつての〈響12年〉と比べるべきではないだろう。

1:1水割りを氷に注いだ「ハーフ・ロック」スタイルを試してみる。さすがに甘みは残っているけれど、香りの広がりはなく、飲み物として悪くはないけれど、水割りにすることで〈響〉の良さが引き出されるわけではない以上、積極的に勧められる飲み方ではないと思う。よって、1:2水割りを試飲するのは断念した。

では最後に、響ハイボールを試してみよう。実際にやる人はいないと思うが、だからこその試飲である。だいたい1:2くらいになるように仕上げ、飲んでみた。ソーダによる酸味と、ウィスキーの甘みがちょうど拮抗する感じで、後からふっと甘い香りが口と鼻腔に広がる。ハイボールとしてはかなり高級なものだと思うけど、普通こういう飲み方はしないだろう。


【付記】
● どうしてもかつての〈響12年〉と比べてしまい、その結果、辛い評価になってしまう「ジャパニーズ・ハーモニー」ですが、虚心に飲むとふつうにうまいブレンデッドではないかと思います。

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シングルモルト白州(新ボトル)



〈遊歩者 只野乙山〉 特別企画
【日本のウィスキーを飲む】



Hakushu.jpg
今回はシングルモルト白州(熟成年数無記載)を飲んでみた。小さなグラスに注ぐと、ブロンドに近い琥珀色。蓋をとると、アルコールの揮発に混じってリンゴ、洋梨、レーズンなどのフルーティーな香りが漂ってくる。スモーキーさやピート香は感じられないが、木質香(ウッディさ)がある。口に含むと、モルトの甘味を感じ、次いでスパイスが舌に来る。時間の経過とともに、カカオやヴァニラの香りも混じってくるようだ。

フィニッシュの余韻はそう長くはない。スパイスが引いた後にモルトの甘みが舌に残り、旨味に変わって引いていくのだが、引き際はあっさりしていると言える。鼻腔には麦芽香と木質香が混じって抜けていく。若干の加水をしても味わいのバランスは大きく崩れることはない。加水によって白州の核にある「硬さ」とでも言うべきものが後退し、飲みやすくなる印象を受けた。

トゥワイス・アップまでもっていくと、まだモルトの甘味は残っているけれど、香りの複雑な広がりが失われてしまう。あまり薄めずに飲むほうが良いと言えるが、予想ではミキサー(割材)を使用することも前提にした方向に仕上げているのかな、と思っていたので意外だった。飲み干した後のグラスからは木質香にヴァニラやキャラメル系の香りが混じって漂ってくる。

オーバー・アイスで(氷に注いで)飲むと、モルトの甘みが凝縮されるわけではなく、木質香とかすかに樽由来と思われる煙っぽさの痕跡のようなものを感じるのが面白いところ。氷が溶けて加水が進むにつれて、リンゴのような味わいが出てきてスペイサイド・モルトのような印象を受けるが、このあたりは山崎(の熟成年数無記載)とよく似ている。

オーバー・アイスの結果から、「ハーフ・ロック」スタイルや、1:2水割りを試してみることを断念した。えっ、ひょっとしたらうまいかも? なるほどそうかもしれないが、今回はスキップしておこう。そんなわけで、最後に白州ハイボールを飲んでみた。ここでは、だいたい1:2のソーダ割りになるように仕上げた。

ソーダによる酸味と白州のウッディさの組み合わせはなかなかだと思う。確かに、飲み物として悪くはないけれど、ソーダ割りにすることによって白州の良いところを引き出せたかどうかは疑問である。むしろ、四千円を超えるウィスキーをソーダ割りにするか? という気持ちのほうが強いのではないかと思う。

この高価格は、原酒不足と需要の拡大が重なった結果の「希少性」によるもので、ウィスキー自体の「品質」によるものではない。だけど、ストレートで飲む限り、スコットランドのシングルモルトに負けていない品質は保っていると思う。価格と品質を天秤にかけ、さらに過去の状態も含めて価値を問うてしまうのは、自分も含めてみなさんそうだと思うのだが、これはもう仕方のないことなのではないだろうか。


【付記】
● 以前飲んだ経験から、甘く華やかな山崎、そしてウッディで硬質な白州、という印象を持っていましたが、それらの特徴は両者に残されているようです。ただし以前ほどはっきりした違いは感じられず、どちらも似ているといえば似ていると感じました。


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アランモルト10年 シングルモルト(アイランズ)

ArranMalt10y.jpg
今回はシングルモルト〈アランモルト(The Arran malt)10年〉を飲んでみた。ウェブ地図で確認すると、アラン島はキャンベルタウンがあるキンタイア半島の東にあって、アイル・オブ・アラン蒸留所はアラン島唯一の蒸留所ということだ。同蒸留所はアラン島の北部、A841道路沿いのロックランザという町の付近で、ロックランザ城やゴルフ・コース、ホテルも近隣に存在している。ちょうど観光スケジュールの一つに蒸留所見学というのがうってつけの感じ。

小さなグラスに注いでみると色はかなり淡い琥珀色。蓋を取ると、アルコールの揮発に混じって麦芽香、どこかオイリーでナッツを思わせる香り、そしてバナナのようなフルーティーさもある。スモーキーさやピート香はほとんど感じられない。口に含むと、モルトの甘みがまず来るが、オイリーでナッツを思わせる味わいもある。わずかに塩(潮)気も感じられ、次いで微弱なスパイスもある。

フィニッシュの余韻はそう長くなく、スパイスが引いた後にモルトの甘みが舌に残り、麦芽かが鼻腔に抜ける。飲み終わった後のグラスからはウッディな香りが漂ってくる。若干の加水でも味わいのバランスは崩れないが、ほんの少しの加水で甘さが引き立ち、フローラル系の香りが開くような気がした。

トゥワイス・アップまでもっていくと、さすがに薄まってしまった感じがするが、モルトの甘さはしっかり残っている。ただし、香りは多くの要素が欠落してしまうようで、飲みやすいけれどそんなにお勧めできるものではない。オーバー・アイスで(氷に注いで)飲むと、甘みが凝縮されて感じ、スパイスもしっかり味わうことができる。

冷却によって香りはある程度抑えられてしまうけれど、暑い時期、氷に注いで飲むのは悪くないと思う。何しろ日本は夏の日中温度が30度を超えるので、そんな時には何か冷たいものが欲しくなるのではないだろうか。加水が進むにつれて、リンゴを思わせるフルーティーさも感じられ、オーバー・アイスもうまいモルトだと言える。

トゥワイス・アップを氷に注いだ「ハーフ・ロック」スタイルも試してみた。ここではウィスキー10mlに対して水10mlという「ひかえめ」の分量だが、飲みまくっていては仕事にならぬので適度で抑えておく必要がある。うむ、ライトボディのスペイサイド・モルトを思わせるリンゴのような味わいに、ふっと漂うナッツ類のような味わいが面白い。

この際だから1:2水割りも試しておこうと思う。製造元では水で割って飲むことなど思いもよらぬかもしれないが、日本では「水割りを」というオーダーが通ることも決して珍しいことではない。飲み方はあくまで自由であり、好きなものを好きなように飲んだらいいじゃないか、という気持ちもある。ううむ……やはりこれは「薄くなりすぎ」の感じがした。比較的伸びるほうだとは思うが、ウィスキー本来の味を楽しむにはちょっと……と思ってしまう。

さて、最後にソーダ割りもやっておこう。というか、シングルモルトのソーダ割りをオーダーした人は誰もいないんだけど……まあ、いいではないか。ここではいつものようにアランモルト10年の30mlを8オンス・タンブラーで、1:2のソーダ割りに仕上げた。うむ、飲み物としては悪くないんだけど、「これは何のソーダ割りでしょう?」とブラインドで出されたら一発で当てることは至難の技であろう。

まあ、それくらいアランモルト本来の属性が失われているということなんだけど、日本ではソーダ割りの人気が高いの実情なので、一応「やっておく」必要があると思って実行したまでのことである。飲み物としては悪くないが、わざわざ「アランモルトで」と指定してソーダ割りをする必要があるほど、原種の良さを引き出せているわけではないと思った。


【付記】
● シェリー樽やバーボン樽で熟成させたモルトに人気があるのですが、オーク樽熟成のモルトも捨てがたい味わいがあると思いました。スモーキーさやピート香はなく、たいへん飲みやすいライトとミディアムの間くらいの感じでしょうか。何杯かウィスキーを飲むときの、最初の一杯として楽しみたいですね。その後、シェリー樽熟成の芳醇タイプ、そしてヘヴィリー・ピーテッドのモルトへ進むのがお勧めです。


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プロフィール

只野乙山

Author:只野乙山

● できれば「只野乙山=ただのおつざん」とお読みくだされば、と思います。

● 文字中心のウェブログ。ほとんど一話完結で、どの記事をご覧になっても楽しめ(?)ます。文字数だけなら一冊の本に匹敵(凌駕?)するほどありますので、ごゆっくりどうぞ。

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